冷泉家時雨亭文庫だより
第七歌卯の花のむらむら咲ける垣根をば雲間の月のかげかとぞみる
第六歌見渡せば柳桜を こきまぜて都ぞ春の 錦なりける
第五歌三千年に なるてふ桃の花咲けり 折りてかざさむ君がたぐひに
第四歌梅が枝に 鳴きてうつろふ鶯の 羽白妙に淡雪ぞ降る
第三歌へだてゆく 世々のおもかげかきくらし 雪とふりぬる年の暮れかな
第二歌奥山に もみぢふみ分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき
第一歌白露に 風の吹きしく秋の野は 貫きとめぬ玉ぞ散りける