文庫だより玄武町余聞

小倉山の法要

藤原定家卿、為家卿法要

さわやかな新緑の中で

5月、京都の西に位置する小倉山二尊院にて、冷泉家の先祖である藤原定家卿、為家卿の法要が行われました。

小倉山は定家卿が晩年、山荘を営み「百人一首」の元となる百首の和歌を選んだ場所として知られています。

そしてその山荘は、子の為家卿に引き継がれ、今も小倉山には遙拝所としてその名残が伝えられています。

冷泉家時雨亭文庫では毎年、ここ小倉山にて会員の皆様と共に、定家卿、為家卿の遠忌法要を行っています。

今年も会員約50名の皆様にご参加いただきました。

さわやかな風が吹き抜ける二尊院に、ご住職の読経が心地よく響きます。

一人ずつお焼香を終えた後は、和歌の披講をお供えいたします。

冷泉家にとって先祖にお供えするべき一番のものは、やはり和歌です。

和歌会会員はじめ、文庫会員の皆様の和歌を奉納し、そのうち7首を披講させていただきました。

ご参加いただいた総勢50名の歌声は、定家卿、為家卿にきっとお届けできたことと思います。

法要の後は、昼食会へ移ります。

全国からお集まりいただいた会員の皆様と直接お会いして、親交を温める貴重な場です。

思い出を語ったり、近況報告をしたりと、楽しい時間を過ごしました。

次に、京都御苑の中にある閑院宮(かんいんのみや)邸跡収納展示館を見学しました。

いくつかの班に分かれて、御所の歴史や自然、閑院宮邸についてのお話を伺いました。

閑院宮邸跡収納展示館は、昨年大幅リニューアルオープンしました。

京都に住んでいても中々尋ねることのない場所だったのですが、見所は盛沢山でした。

御所に残る独自の自然、公家町の変遷を示した映像など、今の御所が形作られた軌跡をたどることが出来ました。

天候にも恵まれ、二尊院~京都御所の新緑の中、かつての宮廷文化華やかなりし頃に思いを馳せる一日となりました。


この記事を書いた人

野村渚

学芸課長 第24代当主為任・布美子の次女久実子の次女。
専門は日本画と文化財保存修復。
子供の頃からの耳年増で、なんとか日々をしのいでいます。

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