文庫だより玄武町余聞
令和4年度の修理報告と
ご支援御礼

令和4年度の修理報告と  ご支援御礼

典籍の修理~毎年、コツコツと~

典籍の修理

当財団では、所蔵する膨大な文化財を毎年少しずつ修理しています。

修理前の状態 虫食いがひどく、紙が固着して開かない

所蔵品の大部分を占めるものは、典籍です。

典籍は長い月日の中で、大事にしていても虫に喰われたり染みができたりして傷んでいます。

大半が経年劣化によりページをめくることすら難しい状態です。このままでは文字が読めないので、研究のスタート地点に立てません。

そこで当財団では、所蔵する膨大な典籍を毎年少しずつ修理しています。

莫大な修理費用と皆様の援助

しかしこれには莫大な費用が必要です。

当財団では、長年、国庫補助のほか、一般社団法人霞会館、公益財団法人住友財団ならびに一般財団法人川合京都仏教財団からの助成をいただき、修理を実現してきました。

これまで修理事業を支え、ご指導ご協力をいただいた皆様に、深く感謝申し上げます。

令和4年度も上記の助成を受け、3冊の典籍を修理しました。

状態確認と修理方針の検討

すべてが重要文化財に指定されていますので、国の指導を受けながら、慎重に修理を進めます。

専門家による修理指導

虫食い穴がたくさん開いた紙は、まるでレースのようです。

この穴の一つ一つを補修紙で埋めて穴を塞いでいきます。

修理前の状態

よみがえった文字たち

典籍の修理は非常に地道で繊細な作業です。

修理技師さんの忍耐強さと技術が光ります。

修理を終え、くっついてしまったページは開くことが出来るようになり、本としての形態を取り戻しました。

虫喰いだらけで読めなかった文字は、読めるようになりました。

修理後

修理された典籍は、再び蔵の中へ収蔵され、研究の機会を待ちます。

これからのために

蔵の中には、修理の順番待ちをしている典籍をはじめとする文化財が数多く眠っています。

これからも少しずつ修理を続け、文化財を後世に伝えていくことが我々現代に生きる者の務めと考えております。どうか皆様の温かいご支援がこれからも途切れることのないよう、よろしくお願い申し上げる次第です。


この記事を書いた人

野村渚

学芸課長 第24代当主為任・布美子の次女久実子の次女。
専門は日本画と文化財保存修復。
子供の頃からの耳年増で、なんとか日々をしのいでいます。

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