文庫だより御所北さんぽ
〜事務局こぼれ話〜

全国国宝重要文化財所有者連盟総会

東京築地本願寺で開催

全文連総会と設立30周年記念式典へ

12月2日(金)東京の築地本願寺に於いて開催された、全文連の第60回通常総会と設立30周年記念式典に出席してきました。

東京 築地本願寺

全文連というのは、(公益社団法人全国国宝重要文化財所有者連盟)の略称です。

文字通り、国宝重文を所有している個人、団体、法人の集まりで、現在719名の会員で構成されています。京都の会員は、ほとんどが寺社仏閣ですが、中には学校法人や茶道の財団なども含まれており、冷泉家時雨亭文庫も加盟しています。


事業内容として、文化財保護施策の推進、調査研究等ありますが、最も重要と思われるのは、国宝重文の修理、管理、保存、防災の予算を充実して頂く為のロビー活動です。
その成果は、13年連続予算拡充ということに表れています。

都倉俊一文化庁長官

今回の設立30周年記念式典では、都倉俊一文化庁長官(私の世代では、ピンクレディの作曲家として有名)のご列席のもと、功労賞の表彰があり、
冷泉家時雨亭文庫叢書の撮影などで当財団とも縁のある(株)便利堂が授賞されました。

また、設立30周年を記念して、「近世の建築を楽しむ~近世社寺建築の魅力」というテーマで、元文化庁文化財監査官 熊本達哉先生のご講演がありました。近世社寺建築には、庶民の信仰の影響が大きいということ、それ以前の建築絵画などの比較を示されてのお話でした。社寺を訪れても、これからはまた違った観点から楽しめそうに思いました。

 

考えたこと 

 

コロナ禍で、3年ぶりの総会への出席で、考えたのは現在新築中の北の大蔵のことです。
収蔵庫としての土蔵には、国からの補助が出ず、その建築費用を多くの方々のご厚意に助けていただいている状況です。皆様からの温かいご支援に心より感謝申し上げます。


私が財団に勤務し始めた10年ほど前、立命館大学の調査で、土蔵は温度、湿度が、年間を通して安定していることが報告されています。
文化財の管理、保存にこれ以上適した収蔵庫はないと思われるのですが。
現在、左官工事が行われていますが、左官職人さんも「こんな大きな蔵の仕事は初めてで、今後もこういう仕事はないのでは」と言われます。
暑い日、寒い日、日々地道に塗り重ねられているのを見るにつけ、この貴重な技術を次世代に伝えて行くためにも土蔵造りは重要だと思います。


この記事を書いた人

吉見由希子

事務局では主に施設管理を担当。おいしいお茶を淹れること、お花を活けることが得意。
最近始めたシニアのチアダンスにハマっています。

文庫だよりLetter From Shiguretei Library