文庫だより御所北さんぽ
〜事務局こぼれ話〜

にゃん紫ものがたり7

「彼女ならもしかしたら子猫を引き取ってくれるかもしれません」

老犬ぐっちゃん

西村さんは猫を2匹、犬を1匹飼っていました。

その猫のうち1匹は、人間用のトイレで用を足せる賢い猫でした。西村さんの猫たちは、西村さんが連れて帰ってきた子猫には近寄らず、遠くから様子を見ていたようですが、老犬ぐっちゃんは、子猫をとても可愛がってくれました。

「ぐっは、たぶん繁殖犬やったんとちゃうかな。爪も歯もすごく悪いねん。でも、子育てはうまい」西村さんのいうとおり、ぐっちゃんは、子猫におっぱいを吸わせ、添い寝をして可愛がってくれました。ぐっちゃんは、保護センターで西村さんが出会って迎えた犬でした。

ぐっちゃんと子猫

子猫

西村さんは子猫を再び病院に連れていきました。当時のLINEのやりとりが残っています。

「心配かけても…と思ってだまっていましたが、今、お医者さんに行ってきました。ミルクを飲む量が少ないので診てもらったら、あと2,3日が勝負でしょうとのこと。もっと元気に泣いておっぱい欲しがるくらいでないと難しいって。親の風邪ウィルス感染で、親にも元気がないから免疫力がない。親も心配とのこと。そこんとこよく説明してから里子に出すようにって」

子猫は、寝てばかり。

にゃん紫は、子猫を探して、弱った体で、雨の中、敷地内をうろうろ動き回っています。あまりにも可哀想で、「明日、にゃん紫を捕まえて、もう一度病院に連れて行こう」皆でそう相談しました。

里親探し

この頃、冷泉家では、子猫の里親探しが始まっていました。

貴実子は、毎月行われている冷泉邸での和歌会で、子猫をもらってくれる人がいないか呼びかけました。すると、藤組の原田マハさんが「博多で猫専門の本屋をやっている友人がいるんですが、最近、20年一緒に暮らした店長のゴンチャロフを天国に送って悲しみに暮れているんです。彼女ならもしかしたら子猫を引き取ってくれるかもしれません」と名乗りを上げてくれました。

子猫の養子縁組話はとんとん拍子に進んでいきました。

そして、西村さんからは、「おめめ拭いて、おしっこして、ミルク飲んで、おさんぽ~! なんだかいける気がしてきたよ」という、子猫が少し元気になってきたとの嬉しいお知らせが届きました。

ぐっちゃんに見守られながらおさんぽ

つづく


この記事を書いた人

余田由香利

事務局では、経理と会員事務を担当。
時々、にゃん紫にチュールをあげるのを楽しみとしています。

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