次世代へ、紡ぐ
冷泉家時雨亭文庫では、若い世代へ伝統文化を継承するために、冷泉流和歌の出張授業を行っています。
こちらは、和歌についての講義を受けているところです。小学校や中学校の国語の教科書に短歌が出てきますが、あれは「近代短歌」と分類されるものであって、五七五七七の形式こそ同じですが、伝統的な和歌とは別モノ。音楽で例えると、現代音楽とクラッシック音楽の関係と似ているかもしれません。
和歌はまず半紙に書きますが半紙を折るのにもルールがあります。紙を折るだけと思いきや、正座しながら机がないところで折っていくので、生徒さん意外と悪戦苦闘。先生は、ずーっとこの作業をやってきているので、もちろんシャッキッと折ることができますが、高校生にすごい、と言われてニコニコ顔。
冷泉家の歌会で使用しているのと同じ大きさの硯箱や硯を教材用として用意しています。ですので、硯箱を配る動作など、冷泉家の歌会でやっているのと同じ動作で練習することができます。
列に並んだ生徒さんが、いっせいに墨をする姿は壮観ですね。最近の小中学校のお習字の授業は、墨汁しか使わないそうで、小学校で揃えるお習字セットにも硯ではなく墨汁入れが入っていると聞いて、昭和世代の中の人、びっくり。墨をするのは、これが人生初、という生徒さんも多数です。
披講
和歌は詠んだ歌を紙に書いておしまい、ではありません。詠んだ歌を独特の節回しで詠み上げることもします。これを「披講」といいます。冷泉家でも、普段の歌会で披講のお稽古もしますし、歌会始や七夕の行事である乞巧奠でも必ず和歌の披講があります。
こちらの高校では、装束も調達して、本格的に和歌の勉強をしています。こんな装束を着られたら、一生の思い出になりそうですね!
伝統文化の継承者を育てる
高校への出張授業は、現在は京都が中心ですが、少しずつ多方面に広げていきたいと思っています。授業の形態は、2~3回の単発講座であったり、週に1回の授業であったり、また、クラブ活動であったり、学校によってさまざま。ここで和歌を体験した高校生が、将来、伝統文化のよき継承者になってくれたらうれしいことこの上ないですね。
この記事を書いた人
ドーダクン(銅駝君)
最小限の労力で最低限の仕事をすることがモットーのサボり魔。ときどき高校へ出前授業をしに行っている。