祇園祭が終わったら
7月の京都は、祇園祭の熱気に包まれます。
あちらこちらから、コンチキチンの祭囃子が聞こえ、賑やかなお祭りムード一色です。
このように祇園祭は、今でこそ京都市内のほとんど全体を巻き込んだものとなっていますが、そもそもは東山四条にある八坂神社の祭礼です。かつてお祀りの担い手は、その氏子さんを中心とした町衆だけでした。
ですので、氏神さんの異なる冷泉家では、祇園祭に対して何かすることはありません。
ですが、一点、祇園祭と冷泉家を繋ぐものがあります。
それがこの、「しゃぐま」です。

しゃぐまは、祇園祭の鉾の大屋根の上の真棒に取り付けられる藁の飾りです。
しゃぐまの数は鉾によって様々ですが、そのうちの一つが、17日の山鉾巡行の後で冷泉家に届けられます。
届いたしゃぐまは、冷泉家の台所(土間)の長押に飾ります。意味合いとしては、祇園祭のお守りであるちまきと同じようなことでしょうか。
しゃぐまが何故冷泉家に届くのか、それはいつから始まったことなのか、定かではありません。
ですが毎年の風習として、今年も新しいものへと付け替えました。


こちらが新しいしゃぐまです。これから一年、ここで冷泉家の事を見守ってくれることでしょう。
この記事を書いた人
野村渚
学芸課長 第24代当主為任・布美子の次女久実子の次女。
子供の頃からの耳年増で、なんとか日々をしのいでいます。