民家の価値とは?
今年も「重文民家の集い」総会の時期がやってきました。
「重文民家の集い」は、重要文化財に指定された民家の所有者たちで作る、特定非営利活動法人です。
今年の会場は、兵庫県。
昨年の福井に引き続き、京都からは比較的近い場所での開催です。
総会には、文化庁や県、また今回の見学会場である堀家住宅、永富家住宅のあるたつの市市長などのご臨席を賜りました。
また、税理士法人の方から、「重文民家継承のための財政安定化」についてのご講演をいただきました。文化財を継承する上で、お金の問題は切っても切れない重要な事です。なにしろ、瓦一枚、床板一枚直すにも、通常よりも手間とお金がかかります。たとえ所有者と言えども、ホームセンターで売っている補修材で手軽に直しておくことは許されないからです。
ここでは例として、文化財指定物件を活用した、海外からの見学者に対するワークショップの例をご紹介いただきました。訪日観光客が、民家を通して日本の歴史的空間を体感し、そこにある文化的価値に触れるという趣旨です。
文化財としての住宅、建造物によって得られる体験は、世界中の人が共有できる価値であるというお話が、とても印象的でした。
このお話を伺って、我々、文化財の所有者ではあまりにも日常的に接しているため、かえって気づかない価値があることを教えていただきました。
二日目につづきます。
この記事を書いた人
野村渚
学芸課長 第24代当主為任・布美子の次女久実子の次女。
子供の頃からの耳年増で、なんとか日々をしのいでいます。