文庫だより玄武町余聞

小倉山会

一番のお供えはお歌です

定家卿、為家卿の法要

水無月15日、恒例の小倉山会を執り行いました。

小倉山会は、冷泉家の遠祖、藤原定家卿とその子為家卿の法要です。

こういった時、冷泉家での一番のお供えは、お歌です。

家の者はじめ、会員の皆様からお預かりしたお歌を仏前にお供えし、献詠披講いたします。

今年は例年よりも少し開催日が遅れたこともあり、とても暑い日でしたが、会場の二尊院本堂にはさわやかな風が吹いておりました。

午後からはお供養の昼食会を挟み、寺社や文化施設の見学会を催すことが定例です。

今年は御室の仁和寺を拝観させていただきました。

仁和寺では、明治の最初頃、冷泉家出身者が2代続けて門跡を務めました。

創建以来、皇室関係者とそれに準ずる者のみが就くことが出来た門跡の座が、明治時代に入り中流公家へ譲り渡されたこともまた、大政奉還、東京遷都に伴う新時代の流れでした。

書院ではそのようなお話を学芸員の方からお聞かせいただきました。皆がそれぞれに仁和寺と冷泉家が歩んできた歴史に思いを馳せたことと思います。

通常非公開の観音堂、金堂も僧侶の方にご案内いただきました。

旧御所である仁和寺には、かつて皇族と関係者しか立ち入れなかったことから、境内はそのままの形で保存されているそうです。中でも、各御堂の中は、仏像、壁画、荘厳具に至るまで、とても保存状態が良いそうで、今でも江戸時代の障壁画が色鮮やかに見ることが出来ます。

貴重な文化財を拝見し、またお話を伺えて、非常に充実した一日となりました。

※仁和寺観音堂、金堂は通常非公開です。書院は現在(2024年)修理中です。

この記事を書いた人

野村渚

学芸課長 第24代当主為任・布美子の次女久実子の次女。
子供の頃からの耳年増で、なんとか日々をしのいでいます。

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