文庫だより御所北さんぽ
〜事務局こぼれ話〜

にゃん紫ものがたり14

この物語を、西村さんと、西村さんが関わったすべての動物たちに捧げます。

おうち猫の時代が到来

母の日に、博多の梅太から届いた和歌。

なつかしき 都忘れの花のいろ 褪せぬる前に 見まくほし君

紫の上から梅太へ

たらちねの 母の面影宿らせて 筑紫に匂へ紫の花

みやこわすれ

梅太は、今、体重6.5キロ、博多に来た時の46倍の体重です。 こんなに立派な青年猫に成長しました。

でも、大久保さんの腕にタコのように巻きついて眠る甘えん坊さんです。

成長した若君こと飛梅太

にゃん紫と九兵衛は、時々、こんな感じでガラス越しに向き合っています。

にゃん紫と九兵衛

「お前、なんで家の中にいるねん?」と言いたげな九兵衛です。

冷泉家では、長年、犬を可愛がってきました。九兵衛の前には、六輔、十郎、五郎、大二郎、太郎…と歴代、犬が庭で番犬として飼われていました。

ここに来て、突然おうち猫の時代が到来したのです。

ホームレスのK原さん

京都御苑のホームレスのK原さんは、平成29年(2018)の京都を襲った台風21号の際、倒木の被害の大きかった御苑でも、無事に過ごしておられました。「こんな大きな木がテントのすぐ横に倒れてきたんやけどな。猫たちが守ってくれたんやろな。ワシは無事やったわ」

そして、ご病気になられたのをきっかけに、京都御苑からは転居し、保護猫の活動をしている方のお世話で穏やかに過ごされた後、永眠されたと伺いました。

その後、冷泉家と同志社との境の塀の工事が始まりました。猫たちが登った梶の木はすべて移植され、同志社側で、彼らがいつもまったりと日向ぼっこをしていた屋根の倉庫も無くなりました。

梶の木も倉庫の屋根も無くなりました

西村さん

西村さんは、平成30年(2019)の乞巧奠が最後の出勤日となり、その約2か月後に京都市内の緩和ケア病棟で、ご家族に見守られながら天国に旅立たれました。

西村さんが入院されていた時、冷泉家の縁側にネズミの子どもたちがやってきたことがありました。

「西村さん、こんな子来たよ~。ネズミ捕りの業者さんに駆除をお願いしてる」と画像を送ると「まだ子どもやなあ。他にもいっぱいいるやろなあ。可哀想やけど、仕方ないなあ」という返事が来ました。

西村さんは、ネズミ捕りの仕掛けにも、最後くらいおいしいものを食べさせてやりたいと高級チーズを置いてあげるような人でした。

西村さんを迎える天国の入り口では、西村さんに助けられた動物たちが列をなして並んでいたに違いありません。

にゃん紫ものがたり

にゃん紫は、今日も、小さなボールをくわえてやってきて、遊べと言います。

「よっしゃ!次は、にゃんの蹴鞠や。YouTubeにアップしよ!」と貴実子は、楽しい夢を語りますが、にゃん紫は、そう簡単にカメラの前で蹴鞠を披露してはくれません。

にゃん紫と貴実子

これが、にゃん紫ものがたりのすべてです。

この物語を、西村さんと、西村さんが関わったすべての動物たちに捧げます。(完)

追記:

先日、冷泉家の防犯ビデオシステムが夜中に異常を察知し大きく鳴り響きました。チェックしてみると、塀の上を歩く野生のハクビシンが映っていました。

冷泉動物ランドの騒動はまだまだ続きそうです。


この記事を書いた人

余田由香利

事務局では、経理と会員事務を担当。
時々、にゃん紫にチュールをあげるのを楽しみとしています。

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