文庫だより御所北さんぽ
〜事務局こぼれ話〜

にゃん紫ものがたり6

片手に乗るくらいの小さくて柔らかくて温かいふわふわしたかたまりが私の手の中で、ミーミーと泣いています。

緊急救出

ある朝、勝手口を覗いてみると、にゃん紫の姿も、子猫たちの姿も無くなっていました。

どこかもっと静かな良い場所を見つけたのならいいけれど…と、子猫のいなくなった床を寂しい思いで眺めていると、ガサゴソと、今度は何やら上の方で音がします。勝手口のキャビネットの上に、クロネコヤマトの宅急便の空き箱が置いてあるのですが、どうやらその箱から音がしています。

ヤマト運輸のロゴは、黒猫が子猫をくわえて運んでいるイラストですが、にゃん紫はそのイラストさながら、子猫を口にくわえて高い場所の箱の中まで運んでいたのです。

西村さんが箱を下ろしてみると、中の子猫たちはずいぶん弱っていました。このままでは、この子たちの命があぶないと判断した西村さんは、子猫たちを緊急救出することにしました。


初めて子猫を触りました。片手に乗るくらいの小さくて柔らかくて温かいふわふわしたかたまりが私の手の中で、ミーミーと泣いています。子猫は2匹とも男の子であることがわかりました。

子猫

祈るような思い

大急ぎで、子猫それぞれにICUのベッドを設えました

ティッシュの空き箱の底にタオルにくるんだ携帯カイロを敷き、子猫の体温が下がらないようにしました。西村さんは子猫の体を温かい両手でさすりましたが、その掌の中で1匹はまもなく息を引き取りました。

最後の1匹をなんとか助けてあげたい!その場にいた私たちは祈るような思いでした。「子猫用の一番小さい哺乳瓶とミルク買ってきて!」西村さんの命を受け、自転車で、北大路のショッピングセンターのペットショップに走りました。

ミルクを作り、飲ませますが、さほど飲みません。

子猫の目は、めやにで塞がっていました。西村さんは何度も子猫の目を拭き、おしっこが出来るように、オイルをつけた綿棒でお尻を刺激し、お腹をマッサージしました。

動物病院

吉見さんが、にゃん紫を捕まえて、子猫と一緒に近くの動物病院に連れていきました。

子猫が相次いで亡くなっていくのは、お母さんの免疫力が落ちているからとの診断でした。にゃん紫用の抗生剤も処方されました。子猫の目が塞がらないようにこまめな点眼をと指導されました。

近くの動物病院で

子猫は、ミルクを飲む力もとても弱く、西村さんが家に連れて帰ることになりました。

にゃん紫は放しました。

つづく


この記事を書いた人

余田由香利

事務局では、経理と会員事務を担当。
時々、にゃん紫にチュールをあげるのを楽しみとしています。

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