文庫だより御所北さんぽ
〜事務局こぼれ話〜

にゃん紫ものがたり4

数匹の猫が草むらを自由に駆け回っていました。

にゃん紫の母親

光は、にゃん紫の育ての親で、夫でもありますが、にゃん紫の母親は、いったい誰なのでしょう?

事務局の古参スタッフ岸本さんは、にゃん紫のお腹が大きくなる1年ほど前に、もう1匹、お腹の大きい茶トラの猫が、しばしば冷泉家に現れるのを目撃していました。

塀重門とイヌザクラの木

冷泉家には、大玄関と南庭の間に塀重門と呼ばれる門があります。昔、朝廷からの勅使が大玄関を通らずに直接上の間に入る時に使用した門で、通常は閉まっています。岸本さんは、「茶トラの猫が大きなお腹で塀重門の下をくぐっていましたよ。通れるかなあと思いながら見ていました」と証言しています。

私たちはその子を葵ちゃんと名付けました。この葵ちゃんが、にゃん紫の母親ではないかと思われます。

K原さん

御所のホームレスのおじさんは、昼間は、テントをコンパクトに畳んで仕事に出かけ、夕方になると、またテントを張って暮らしていました。

事務局の吉見さんは、毎日、御苑の小径を自転車で通勤しています。おじさんの周りに、光と葵ちゃんを見かけた吉見さんは、思わずおじさんに声をかけました。

おじさんの名は、K原さん。日中は、空き缶回収などで生計を立て、猫たちの世話もしているとのこと。猫が病気になると動物病院にも連れていくことなどがわかりました。

K原さんの猫たちの中でも、茶トラのチャーコが大層賢いボス猫ということでした。

ボス猫のチャーコ

葵ちゃんは、K原さんには、ちびと呼ばれていて、そのお母さんはチャーコとのこと。そうすると、チャーコは、にゃん紫のお祖母さんということになります。

他にもフジコ、元気くん、たびくん、白ちゃん、K原さんの周りでは、数匹の猫が草むらを自由に駆け回っていました。でも、御苑でにゃん紫の姿を見ることはありませんでした。

にゃん紫は、冷泉家を居場所とし、ときおり、同志社に遊びに行ったかもしれませんが、今出川通を越えて、御所方面に行ったことはなかったのではないでしょうか。

そして、いよいよにゃん紫の出産の日が近づいてきました。

つづく


この記事を書いた人

余田由香利

事務局では、経理と会員事務を担当。
時々、にゃん紫にチュールをあげるのを楽しみとしています。

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