北の大蔵 新設工事進捗報告土づくり

土壁の下地となる土づくり

土蔵は、日本の昔ながらの建築様式の1つ。木で造った骨組みに土を塗って下地壁をつくり、その表面を真っ白な漆喰で仕上げます。下地には、良質な土を使うことが肝心です。今回はその土づくりの現場(2021年夏)をレポートします。

北の大蔵に使う土は、国内最高峰と称される「聚楽土」。土壁に適した高価な土で、現代では稀少になっています。伏見地域の山を切り崩して、天然の聚楽土を採取します。

聚楽土に混ぜ合わせるのは切り刻んだ藁。土と藁と水を混ぜて数週間寝かせると発酵し、藁の繊維質が土となじんで粘りのある土になります。この土が乾くと、コンクリートのように硬くて強い壁になります。

大量の聚楽土と藁をユンボで撹拌していきます。

下地塗りには荒い土を使います。中塗り〜上塗りと壁の表面に徐々に近づくにつれ、混ぜ合わせる藁を細かくしていきます。

出来上がった下地用の土は、トラックに積まれて伏見から冷泉家へ。土壁づくりの初期は、大量の土を使うため、1日に何度もトラックで運び込みます。

運び込まれた土を壁に塗る前に、左官職人が土に混じった石を取り除き、水分の調整を行います。

文庫だよりLetter From Shiguretei Library