北の大蔵 新設工事進捗報告そして迎えた竣工式

そして迎えた竣工式

雲一つない青空の下で

令和7年6月5日、待ちに待った竣工の日が訪れました。

建造物の完成から約一年の乾燥期間を経て、ようやく『土蔵』として完成しました。

気候変動の影響は受けつつも、京都は四季のはっきりとした土地です。

春夏秋冬、それぞれの気温・湿度の移り変わりを経験し、よく馴染んだ土壁は、今後半永久的に文化財を守ってくれることでしょう。

竣工式

竣工式は、氏神である上御霊神社の小栗栖元徳宮司に執行していただきました。

これでこのお蔵も御文庫と同じように、神様が守ってくださることでしょう。

北の大蔵を建てるにあたりご寄付いただいた方のお名前を記載した芳名録を、一番に収めました。

芳名録

芳名録を収納する箱には文化財を保存するものと同じく、中性紙の箱を用意しました。

中性紙で出来た箱は、今後長期にわたって紙資料の酸性劣化を防ぐ効果があります。

芳名録 寄付者記名覧
芳名録 寄付者記名覧

クラウドファンディングを利用してご寄付いただいた方のお名前も、もちろん記載しました。色とりどりの和紙に墨で記された文字は、半永久的に残ります。

北の大蔵建設には約2億円がかかり、これまで皆様から1億円に上る多大なご寄付を頂戴しました。

ですが、まだあと1億円足りていません。

今後ご寄付をいただく方のお名前を随時追加するべく、この芳名録は製本せずにおります。

今年度中に棚を設置し、蔵内へ所蔵品を運び込みます。

空調を使うことなく土蔵の構造と自然な換気のみで保管していく北の大蔵のシステムは、最もSDGsに適したものと言えるでしょう。

皆様の多大なる応援をいただいて、やっと完成したこのお蔵。しっかりと運用してまいります。


この記事を書いた人

野村渚

学芸課長 第24代当主為任・布美子の次女久実子の次女。
冷泉家後継。アナログな手作業が好き。

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